「赤ちゃんを授かって、ついに出産だ、育児だ」
「ちゃんとできるかな、自分が親だなんて信じられない」
「育休手当で収入が減るけど、うまく生活できるかな」
とただでさえ不安な中、万が一の病気やケガになってしまったら本当に大変ですよね。
赤ちゃんの世話だけではなく自分の治療もしなければならない。そんなとき「育休手当と傷病手当金は同時に受給できる。受給すると収入が1.3倍になる」と聞いたなら、せめてお金の問題だけは解決しそうだと思いませんか。
このページは、以下のような方へ向けた記事です。
また、この記事には以下のような内容をまとめています。
社会保険にあまり詳しくない方が、出産・育児関連の給付金と傷病手当金とをスムーズに同時受給できるように、制度の概要をまとめています。ぜひ最後までお読みください。
残念ながら傷病手当金は、専業主婦(扶養に入っている方)や個人事業主(国民健康保険に入っている方)は対象外です。
傷病手当金が減る?確認したい育休手当など妊娠・出産の給付一覧
令和5年8月現在、妊娠・出産・子育てで受け取れる給付金は全部で7種類あります。
この7つの中で、あなたの給料によって受給額が変動するのがこちらの3つです。
残りの4つは金額が固定されていたり、所得と連動していたりして、傷病手当金と関係なく支給されます。
話がかなり逸れるのでこの記事で触れませんが、それぞれの申請タイミングを逃さないよう、お気をつけください。
改めて知っておこう。傷病手当金を受給できる方の条件5つ
傷病手当金は、健康保険から支払われる「病気やケガで働けない間の生活をお金で助けてくれる」制度です。誰でも受給できるわけではなく、5つの条件があります。
つまり、労災ではない病気やケガで働けない状態が4日以上続いていて、有給休暇を使わずに収入がない方に向けた支援です。
こんな病気で傷病手当金が受給できる。産休前や育休手当中OK
傷病手当金は、産休前や育児休業中に受給できます。
つわりや産後うつが支給対象だとご存知でしたでしょうか。私は知りませんでした。要するに医師が「病気・ケガで働けない」と判断したなら傷病手当金の支給対象です。
ただし、出産直前・直後の傷病手当金は満額受給できません。その点について次の見出しでご説明いたします。
もらえる金額が減る訳ではない。産休で傷病手当金を受給できる例
出産手当金は傷病手当金と同じで、健康保険から支給されます。
健康保健協会から見れば「どちらかひとつでいいだろう」と判断されるようで、出産手当金だけは傷病手当金と同時に受給できません。ただし、産休期間以外の休業は傷病手当金が受給できます。
この例の中では、②だけが傷病手当金の対象外です。
②以外のケースは産休期間以外も病気による休業をしていますので、その部分に対して傷病手当金が支給されます。
②のケースでも、出産手当金が減額されるような例はありません。ただし、有給などで会社から給料が出てしまうと減額されますから、ご注意ください。
ただ、これらをご自分で判断する必要はありません。とりあえず申請だけしておくと、どの日を支給してどの日を支給しないか健保協会が判断してくれます。申請できる状況が整っているなら、とりあえずは申請してしまいましょう。
父の育休手当も傷病手当金で減る事実はない。産後パパ育休もOK
父親も産後休暇・育児休暇を取得可能です。しかも母親と違い、どちらも傷病手当金と同時受給できます。
なぜなら、出生時育児休業給付金と育児休業給付金はどちらも雇用保険法から、傷病手当金は健康保険法からと、異なる法律から支給されるからです。
例えばこのような場合に、両方を受給できてしまいます。
もし両方を1年間受給したなら、非課税の不労収入が元の年収の1.3倍くらい手に入る計算です。
とはいえ不正受給はNG。育児がなければ元の業務に戻れるだけの健康がありながら、病気だと偽って受給するのはいけません。
誰も病気になんてなりたくないですし、お金を得るためにケガするわけでもありません。本当に受給できる状態なら迷わず申請しましょう。ただしポイントが2つあります。
それぞれ説明していきます。
事前に申請が必要
「出生時育児休業(産後パパ育休)」も、「育児休業」も、事前に申し出なければ希望通りの日程で休業できず、お金も給付されません。
出産直前の時期に病気やケガで休業している場合、この期限に気づけないまま過ごしてしまいがちです。
それぞれの休業給付金をきちんと受給したい場合は、あなたのケースの申し出期限が具体的にいつなのか正確に把握しておきましょう。
有給休暇を使ってはいけない
有給休暇を使ってはいけない理由は、損をするからです。
育休手当と傷病手当金は同時に受給できますが、有給休暇を使ってしまうと、有給休暇を使った日数分だけ両方の支給が停止されてしまいます。
これは1ヶ月分の計算ですから、休んだ日数が数日ならばもっと差が小さくなります。それでも損をするのはご理解いただけるでしょう。
有給休暇を使うと損。育休手当を受給すると来年の税金が減る理由
これは特にパパに知ってもらいたい内容ですが、出産直後から子どもが1歳になるまでの間に有給休暇を使うのは本当に損です。
手続きがいくら面倒でも、出生時育児休業や育児休業を取得した方が有給休暇よりも得です。有給休暇を減らさずに休暇が得られるだけでなく、給付を受けながら翌年の税金も減ります。
なぜなら、育休手当や傷病手当金の給付金は非課税だからです。給付金で生活している間は、税金の目線で見ると無収入と同じように扱われます。
有給休暇を使う場合 | 育児休業を使う場合 | |
メリット | 普段の給料100%の額が収入になる 普段の給料日に入金され、特にお金で困らない 会社に貢献しているような気になる | 有給休暇の残日数が減らず、育児休業明けにそのまま残る 無収入と同じ扱い。翌年の所得税などが減る |
デメリット | 有給休暇の残日数が減る 所得に課税され、税金が減らない | 休業中は収入が67%に減る 休業中の税額は休業前と変わらず、手取金額が激減 入金されるのが遅く、金欠になる可能性がある 休業を申請しにくい風土の会社がある |
結果的に、有給休暇を使うと傷病手当金を使った時よりも少し税金が高くなります。
ただし、税金が下がるのは翌年です。なぜなら、所得税などは昨年の所得を基準に今年の税額が計算されているからです。結果的に、休業しているその時は普段通りの税金を支払わなければなりません。
育休手当は元の収入の67%しかありませんから、所得税などを元の税額を支払うと手取りがかなり少なくなります。休業中は金欠にならないよう、お金の使い方に気をつけましょう。
育休手当の支給額は現在67%ですが、これを80%にすると政府が宣言しています。こちらの記事もぜひご覧ください。
育休手当、出産手当、傷病手当金をうまく受給して快適に暮らそう
出産・育児に関する手当は現在7種類ありますが、その中で傷病手当金と同時に受給できないのは出産手当金だけです。
育児休業と傷病手当金は両方同時に受給できます。育児休業中の病気やケガは、積極的に傷病手当金を利用しましょう。うまく受給できると、その収入はなんと、普段の収入の1.3倍程度です。
育休手当も傷病手当金も非課税で、休業が長引けば長引くほど、いつも支払っている所得税などが激減します。本当に使わないともったいない。
育休中の病気やケガは本当に大変です。傷病手当金を申請して、せめて経済的に苦労しないようにしてくださいね。
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