休職中に突然、会社から社会保険料を請求されると驚きますよね。
「収入がないのに社会保険料を取られるの?」「傷病手当金では生活費が限界」「社会保険料を払わなかったらどうなる?」このように悩む方は、あなただけではありません。
普段は働いていると社会保険料は給料から自動的に引かれているため、特に気にすることありませんが、休職すると「これからどうすればいいの?」と不安になります。
この記事では、休職中にも社会保険料を払わないといけない理由、払えなくなるとどうなるのか、社会保険料が払えない時の対処法について紹介します。
この記事では、傷病手当金以外にあなたの助けになる社会保障制度を紹介します。突然の社会保険料の支払いで焦っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
「休職中に社会保険料が払えない」は認められない
休職中であっても、社会保険料の支払いが免除されたり、減額されたりすることはありません。なぜなら、社会保険料は今年の給料と関係ないからです。
通常社会保険料は給料から引かれますが、休職中は給料が支払われないため、休職期間中の保険料は自分で会社へ支払う必要があります。
休職中に支払う社会保険の種類
社会保険には以下のような種類があります。
社会保険料の種類 | 内容 | 自己負担 |
---|---|---|
健康保険 | 病気の治療に必要な医療費の一部を支払うための資金源 | 50% |
厚生年金保険料 | 退職後や障害、死亡時に提供される給付の資金源 | 50% |
介護保険料 | 65歳以上で要介護・要支援状態になった際に支給される給付の資金源 | 50% |
休職期間中もこれらの社会保険料は、休職前と同じ金額を支払う必要があります。つまり、休職中であっても個人の負担額は変わりません。
社会保険料以外にも休職中に支払うべきものとして、住民税があります。前年に収入があった場合は、休職中で収入がなくても住民税を支払う必要があります。
同じ税金でも、所得税については支払いが求められることはありません。給与や賞与が発生しないからです。
休職中に社会保険料が払えない場合どうなるか
休職中に社会保険料が払えない時のリスクは、会社から催促されるのみです。そのため、すぐに健康保険証の利用ができなくなったり、公的機関から催促状が届いたりすることはありません。
ただし、休職中の社会保険料を会社に立て替えて貰った場合は、必ず復職後に返しましょう。もし、会社が立て替えてくれていた分を返さなかった場合は、損害賠償請求に発展します。
休職中のリスクが少ないといっても、社会保険料の支払いは避けられない義務です。トラブルを防ぐためにも、休職している間の社会保険料の取り扱いについては、事前に会社と十分に話し合いましょう。
休職中に社会保険料が払えない場合の対処法:会社へ頼る2つ
休職中で社会保険料が払えない場合は、どのように対処していけば良いのでしょうか。ここでは会社に相談する方法として、以下の2つの対処法を紹介します。
あなたの状況に合わせて、会社へと提案しましょう。
一度会社に立て替えてもらう
1つ目の対処法は、会社に社会保険料を一時的に立て替えてもらい、復職後に給与から分割で返済するというものです。社会保険料を一時的に立て替えてもらうことで、休職中の経済的な負担を軽減することが可能です。
しかし、全ての会社がこのような制度に対応しているわけではありません。実施している場合でも、具体的な条件や手続きは会社の就業規定によって異なります。
そのため、休職を検討している場合やすでに休職中の場合は、早めに人事部門や経理部門に「休職中に社会保険料が支払えない」という相談をしましょう。
会社に立て替えてもらうという対処法は、会社側に回収できないリスクがあります。なぜなら、立て替えたまま休職者が退職すると、給与からの天引きができないからです。そのため、会社側に断られても仕方がないことは理解しておきましょう。
退職金やボーナスで相殺する
休職期間が2〜3ヶ月であれば、ボーナスを利用して社会保険料を支払う方法が有効です。ボーナスを活用することで、日常生活における金銭的な負担を軽減しつつ、必要な保険料を確実に納付できます。
一方で、休職期間が長引く場合は、退職金から社会保険料を支払うことも1つの選択肢です。しかし、将来受け取る退職金の額に大きな影響を及ぼす可能性があるため、慎重に判断しましょう。
休職中に社会保険料が払えない場合の対処法:3つの社会保障制度
傷病手当金では社会保険料を支払えない場合は、他の社会保障制度を利用する方法があります。ここでは、以下の3つの社会保障制度を紹介します。
各社会保障制度の利用条件や利用方法を確認し、あなたに合ったものを利用しましょう。
高額療養費制度
休職中は特に医療費の負担が大きくなります。医療費が原因で社会保険料が払えない場合は、高額療養費制度の利用がおすすめです。
高額療養費制度は月間の医療費が一定額を超えた場合、超過分の払い戻しを受けることができます。年収別自己負担限度額は、以下の通りです。
年収 | 月収 | 自己負担限度額(1ヶ月) |
---|---|---|
住民税非課税者 | 住民税非課税者 | 35,400円 |
~年収370万円 | 260,000円以下 | 57,600円 |
年収370~770万円 | 280,000~500,000円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
年収770~1,160万円 | 530,000~790,000円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
年収1,160万円~ | 830,000円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
高額療養費制度を利用するためには、通っている病院の事務員さんに相談してみましょう。特に、入院病棟があるような病院なら必ず対応してくれます。
生活福祉資金貸付制度
傷病手当金で収入が以前の2/3に減少した場合、生活福祉資金貸付制度を利用できます。生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯を対象にしており、生活の立て直しをサポートするための貸付を行います。
申請場所は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会窓口です。市役所・区役所に併設されているところもあれば、市役所・区役所から車で数分かかるような場所にあるケースもあります。
審査には、収入状況や貸付によって生活が改善される見込みなど、さまざまな要素が考慮されます。生活福祉資金貸付制度が利用できる方は、住民税が非課税になるほどの低所得世帯と、障害者が属する世帯です。
知名度が低い貸付制度ですが、休職中の生活の負担を軽減してくれる制度なので、条件が当てはまる場合は申請してみましょう。
生活保護制度
休職期間中に社会保険料や生活費の支払いが困難な場合は、生活保護制度が支えになります。生活保護制度は、経済的に苦しむ人や家庭に対して生活に必要なお金を支援する社会保障制度です。
傷病手当金を受給しても経済的に苦しい状況が続くなら、生活保護を申請しましょう。
生活保護の受給条件は、傷病手当金を含む月の世帯収入が13万円以下であることです。生活保護制度の申請を検討する際は、お住いの市区町村の社会福祉事務所に相談しましょう。こちらも、市役所・区役所とは離れているケースが多いようです。
生活保護は、社会的な偏見を感じるかもしれませんが、あなたの生活を守るために役立ちます。本当に困っているのなら、迷わず公的支援を最大限活用してください。
休職中に社会保険料が払えないなら、会社や社会保障制度に頼ろう
休職中の社会保険料の支払いに困ったら、まずは会社に相談してみましょう。会社側が社会保険料の支払いに対し、協力的な解決策を提案してくれることがあります。
もし、会社側が休職中でも社会保険料を毎月払うことを求めた場合は、以下の社会保障制度の利用を検討しましょう。
社会保障制度は困っている人を救うために作られた制度です。社会保険料や生活費に困っている場合は、迷わず利用してくださいね。
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