「傷病手当の前歴照会する取得接近調査書を書けって言われた。照会されたらどうなるんだろう」「今の同僚たちに過去の休職を知られたくないな」と困っていませんか。
転職後1年以内の休職は、採用してくれた会社に対して申し訳なく思うもの。とはいえ、かつての病歴や休職歴を勤務先に公開しなければならない理由はありません。
結論、照会されても勤務先に何かがバレるわけではありません。健保組合同士でのやり取りだけなので、安心して同意しましょう。
傷病手当金がいつまで受給できるのか、もしも受給が終わってしまったらどうすればいいかも紹介していきます。どうぞ最後までお付き合いください。
傷病手当金の前歴照会で病歴などが今の勤務先にバレることはない
傷病手当の受給理由に関して勤務先は一切関係ありません。あなたが自分の口で語らない限り、勤務先には何の情報も開示されません。
なぜなら、「病歴」などは個人情報保護法で守られる「要配慮個人情報」だからです。
本人があらかじめ同意しない限り、これらの情報は開示してはならないと法律で定められています。
健保組合はこれらの情報をもとに傷病手当金を支給するかどうかを判断しますので、健保組合へは開示しなければ傷病手当金が受給できません。しかし勤務先へ開示する義務はありません。
万が一、これらの情報を現在の勤務先に開示する同意書へサインしてしまった場合、これらすべての情報が勤務先に漏れてしまいます。
参考:(政府広報)https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201703/1.html#secondSection
傷病手当金前歴照会の同意書でチェックするべき2つのポイント
傷病手当の前歴照会とは基本的に、「健保組合Aが健保組合Bや病院などへ情報共有を求める手続き」です。前職も現職も関係ありません。
なので、今勤めている「勤務先から」同意書を求められた場合は注意してください。
勤務先を通じて健保組合と同意書のやり取りをするのは問題ありませんが、傷病手当の申請について勤務先に個人情報を開示する同意書は異常です。
それでは「前歴照会の同意書」のなかで、チェックするべき2つの内容について触れていきます。
【同意書チェック1】宛先が健康保険組合の長(理事長など)ならOK
同意書の宛先が「〇〇健康保険組合 理事長殿」など、あなたが所属する健保組合が宛先となっているならOK。次へ進みましょう。
あなたが現在所属している健康保険組合は、あなたが普段使っている健康保険証に書かれています。確認してください。
宛先が健保組合ではなく、自社の社長など健保組合以外の人物(法人含む)になっている場合は要注意。同意すると、あなたの個人情報を彼らが悪用できてしまいます。
宛先が健保組合でなかった場合、ご自分の所属する健保組合へ問い合わせてみましょう。可能ならば勤務先を通さず、健保組合と直接交渉したいところです。
【同意書チェック2】以前の健康保険組合や医療機関への照会ならOK
同意書の文章をよく読みましょう。照会する先については健保組合によって文章が異なりますが、「以前の健保組合」と「医療機関」であればOKです。勤務先は一切関係ありません。
万が一照会先に以前の所属勤務先などが含まれている場合は要注意。悪意ある同意書の可能性があります。
その場合は健保組合へ相談、そのあと社労士や弁護士への相談をお勧めします。
なぜ前歴照会されるのか。入社1年未満で傷病手当金申請の場合
入社1年未満での休職・傷病手当申請は必ず前歴照会されます。
なぜなら、傷病手当は「通算」18ヶ月までと決められているからです。もし前職で支給されていれば、その分支給期間を短くしなければなりません。
これは転職を繰り返して傷病手当を受給し続ける不正受給を防ぐための手続き。正当な照会を拒否した場合は傷病手当が受給できないと考えましょう。
傷病手当金は「通算」18ヶ月間、同じ病気で申請できる
傷病手当金は一つの病気で「通算18ヶ月」まで受給できます。これは「通算」なので、転職・退職してもリセットされません。
図は18ヶ月の一例です。月単位になっていますが、実際は日単位で18ヶ月を通算します。
この18ヶ月の間であれば、退職しても再就職しても、同じ病気で傷病手当を受給可能です。
20X4年8〜10月が収入なしになっていますが、これはあくまで「傷病手当」視点の話です。現実には収入なしを避ける方法があります。この先で紹介いたしますので安心してください。
18ヶ月を超えて手当を受け続ける現実的な2つの方法
通算18ヶ月を超えてしまうと、同じ病気で傷病手当を受給できません。
「うつ病」とは全く別の「がん」などの病気を発症した場合や、「社会的治癒」(概ね1年以上の社会復帰)ができていれば傷病手当を新たに申請できます。しかしそれは自分でどうにかできるものではなく、現実的ではありません。
もっと現実的な、実現可能な方法がこちらの2つです。
障害年金に切り替える
18ヶ月もの間精神科で治療しているのなら、「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けられるのではないかと思います。
障害手帳の交付を受けると、障害年金が受給でき、生活費の一部を賄うことができるようになります。
ただし障害の等級が3級だと障害年金だけでは生活できません。短時間の労働や、生活保護なども検討する必要があります。
退職して、失業給付を利用する
「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けている場合は、「就職困難者」の認定を受けられます。
10ヶ月の失業給付を受けられますので、その間に再就職先を探しましょう。
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傷病手当金の前歴照会で勤務先に何かがバレることはない
傷病手当金の支給期間が「通算18ヶ月まで」と決められている以上、転職後1年以内の休職に対して前歴を調べられるのは仕方ありません。
健保組合にその前歴を開示するのは仕方がありません。開示しなければ傷病手当金を受給できないでしょう。とはいえ現在の勤務先は関係のない事実です。
勤務先には現在の状況だけ相談し、過去の事実には触れないようにして傷病手当を検討しましょう。
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