「うつ病で休職しているけれど、自分がずるい人間に思えてつらい」「退職するべきかもしれないが、退職後が不安なのでできれば辞めたくない」「もし辞めるなら、自分にとっていい形(お金・人間関係)で辞めたい」
働いておらず会社に対して貢献もしないのに、休んで遊んで給付金をもらう状況を「ずるい」と感じるのは理解できます。しかし、あなたはご自分を責めすぎです。あなたは許されていい。
この記事では、あなたがご自身を許せるように、以下の情報をまとめています。
休職から復職せず退職するのは普通ですから、当サイトとしては退職をおすすめします。とはいえ決断するのはあなたですから、休職継続するか、退職するか、判断できるように情報をまとめました。ぜひ最後までお読みください。
うつ病での休職と退職がずるいと思われている原因
うつ病での休職と退職がずるいと思われている原因は、ズバリ「うつ病への理解不足」です。
「ずるい」とは「嘘をついたり騙したりして一方的に利益を得ている様子」です。すなわち「ずるい」と主張する方々から、あなたのうつ病が嘘ではないかと疑われています。
「うつ病=ずるい」と評価する方は、以下のような順序で思考が展開されます。
つまり「うつ病は嘘」がすべての始まりです。うつ病で苦しんでいる方がいるのは紛れもない事実ですから、勘違いを正すように会社が従業員を教育しなければ解決しません。
とはいえ、従業員の教育は会社の役割です。上司や同僚への教育は会社に任せて、あなたはあなたのできる範囲で思考と行動を変えましょう。
もしもあなた自身が自分をずるいと思っているのなら、あなたもうつ病を理解できていません。あなた自身が自分を嘘つきではないかと疑っている状態では、うつ病が改善するわけがありませんよね。
あなたは嘘つきではありません。まずはあなた自身の考え方のクセを変えるところから始めましょう。
「ずるい」を「要領がいい」と言い換えてみよう
うつ病で休職してそのまま退職するのは「ずるい」でしょうか。私は「要領がいい」と思います。たとえあなた自身が退職を「ずるい」と思っていたとしても、すこし、考え方を変えてみませんか。
「ずるい」を「要領がいい」と言い換えるために、あなたのまわりの「ずるい先輩」や「ずるい上司」「ずるい後輩」を想像しましょう。例えばこんな方々です。
上記のような「ずるい」を「要領がいい」へ言い換えると以下のようなイメージになります。
彼ら・彼女らは、間違いなくずるいのですが、これらの行動こそ「要領がいい」のを見逃してはいけません。
つまり「ずるい」と「要領がいい」は、ただ視点を変えただけで同じなのです。したがって、うつ病で休職して、復職せずに退職するのも「要領がいい」といえます。
不機嫌な上司にも報連相を怠らず、他人を使わず自分の力で仕事を進め、すべてをていねいに仕上げる。あなたの真面目な性格は次の仕事で必ず役立ちますから、今は要領よく退職してゆっくり休みましょう。
あなたは本当に「ずるい」と思われているのか
あなたは、本当に誰かから「ずるい」と思われているでしょうか。3つの視点から考えます。
実は誰もあなたを「ずるい」と思っていないとしたら、あなたは自由だと思いませんか。
面と向かって「ずるい」と言われたケース
誰かに面と向かって「ずるい」と言われたなら「へへ、どうだ、いいだろう」「褒めてくれてありがとう」と返しましょう。
私の知るかぎり、面と向かって誰かに「ずるい」と伝える状況は、皮肉めいた褒め言葉として使うケースがほとんどです。
例えば「上司の機嫌がいい日に相談するなんて、君は本当にずるいよね」「雑な仕事をしても怒られないなんてずるい。どんな裏ワザを使ってるの?」のように使います。
本当に素直な方は「ずるい」をネガティブに受け取ってしまいますが、実は「君は私よりも要領がいい」と褒められています。面と向かって伝えられる「ずるい」はポジティブに受け止め、「ありがとう」と返しましょう。
あなたのいない所で「ずるい」と言われているケース
これはいわゆる「陰口」ですから、黙らせるのは不可能です。陰口を言う人物と接触しない環境を作りましょう。
よく観察すると、いつも同じ人物が陰口を言っており、複数人が陰口の対象にされているのに気づきます。つまり、考えるべきなのは「何がずるいのか」ではなく、陰口を言う人物への対応です。
他人は変えられません。あなたに変えられるのはあなただけです。他人は黙らせられませんから、陰口があなたへ届かないように人間関係を整理しましょう。退職が最も手っ取り早い方法です。
あなた自身が自分を「ずるい」と思っているケース
他人から言われなくとも、あなた自身が自分を「ずるい」と思っているケースもあるでしょう。
しかし「ずるい」は普通、被害を受けたり騙されたりした側の意見です。つまりあなたは、残される同僚や先輩たちの気持ちを自分の気持ちとして捉えています。
確かに、他人の気持ちを理解できるかどうかは人間関係において重要なスキルです。とはいえ、他人の気持ちを自分の気持ちだと思い込もうとするのはやりすぎです。本当の自分を見失ってしまいます。
「他人の気持ちを優先しすぎてあなたが病む」なんて状況にならないように、あなたはあなた自身の気持ちや利益を優先するように努力するべきです。周りの評価を気にする前に、まずはあなたがあなたを許しましょう。
うつ病で休職したまま復職せず退職するメリットとデメリット
休職後に退職するケースと休職を継続するケース、それぞれのメリットをひと言で言えば、退職は「自由」で休職は「所属」です。
当サイトとしてはあなたに退職をおすすめします。なぜなら、うつ病の治療には周囲の理解が不可欠だからです。周囲の人間が少なければ少ないほど、理解してもらう労力も少なくすみます。
さらに、退職しても傷病手当金は通算18ヶ月まで継続できますし、きちんと手続きすれば失業手当を10ヶ月間受給できます。したがって、当面の間は生活費を気にしなくていい環境をつくれるのです。
とはいえ、簡単に決断できないのも重々承知していますので、ここからは決断できるようにする情報をまとめます。それぞれでどんなメリットとデメリットがあるか、以下の表を見て事前に知ってください。
休職中に退職してうつ病を治療する | 休職を継続してうつ病を治療する | |
メリット | ・理解してもらうのが家族だけでいい ・旅行やテーマパークなど、自由に活動して喜怒哀楽を自由に発信していい ・再就職後は、過去のいざこざを知らない仲間と新しい気持ちで働ける | ・気にかけてくれる他人がいる(迷惑だったとしても) ・元の会社へ復職できる ・復職後は、過去の経緯を知っている同僚たちと働ける |
デメリット | ・組織に所属しておらず孤独を感じる ・働き始めるために就職活動が必須 ・再就職後、どんな仲間と働けるのかわからない | ・会社の仲間に理解してもらわなければならない ・SNS発信は上司や同僚たちとの人間関係に配慮しなければならない ・うつ病の経緯を知っている同僚たちと働かなければならない |
どちらも一長一短です。ただし、退職したほうがあなた自身の幸せを優先できると私は思います。制約なく自由に活動できるので、短期間での治療完了が期待できるからです。
うつ病で休職して退職した後の生活費になる給付金2つ
退職するかどうか考えるにあたって、最も気になるのは退職後のお金でしょう。うつ病で休職している方にとって、退職後に受給できる現実的な給付金は2つあります。
休職中の方なら、現時点ですでに受給している傷病手当金を退職後も継続できます。期間は最大18ヶ月で、現在申請している病気・ケガで最初に受給した日から通算して計算します。
失業保険は、就職困難者なら10ヶ月受給できます。金額は傷病手当金とほとんど同じです。結果、すでに休職した期間を含めて最大28ヶ月の間、給付金を受給しながら生活できます。
うつ病で休職している方が就職困難者になるには、精神障害者福祉手帳を取得しましょう。初診から半年以上通院して完治しない場合、お住まいの市区町村で申請すると交付されます。
こちらの記事で「就職困難者」についてより詳しく解説しています。自分が就職困難者かどうか自信のない方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
https://www.taisyoku-kingyo.site/unemployment_amount/#toc10
休職後に退職するなら最低限知っておきたい失業保険の知識3つ
退職するとわずらわしい人間関係から解放され、自由に行動できるようになります。しかし、何もせずただ待っているだけでは損をしますので、きちんと学んであらかじめ準備しておきましょう。
失業保険は、退職の理由や年齢などで内容が違います。普通の方だと退職後最初の2ヶ月間は収入がありませんが、うつ病で休職している方なら無収入の期間なく受給し続けられます。
とはいえ、普通の方よりも優遇されるには、以下3つの知識を退職する前に知っておきましょう。
上記の3つをきちんと知って、要領よく(ずるく!)退職しましょう。
退職の理由を会社都合にする方法
「そろそろ退職しないか?」「自分で退職したほうが君のためだ」などと言われた経験がありませんか?退職するように促された場合「会社都合退職」といい、失業保険が優遇されます。
とはいえ、その証拠をハローワークに提出できなければ認められません。証拠を残すため、すべてメールでやりとりするか、会話を常に録音するクセをつけましょう。
失業保険が優遇される会社都合退職は16種類ありますが、うつ病で退職するときに関係するのは以下の3つです。
会社からの解雇も、ハラスメントも、証拠さえ残せば会社都合にできます。どちらにしてもメールの文面や会話の録音が有力な証拠ですから、やりとりはできるだけメールで、会話は常に録音しましょう。
決定的な言葉を言われるまで退職しないのも、要領のいい退職です。
精神障害者保健福祉手帳の取得
精神障害者保健福祉手帳を持っていると、退職後の失業保険を優遇してもらえます。
社会保険に1年間以上加入していた方が精神障害者保健福祉手帳を取得して退職したなら、45歳未満は300日間、45歳以上は360日間失業保険を受給できます。
うつ病での精神障害者保健福祉手帳は、初診から半年経過して完治していない場合に、市区町村へ申請したら交付されます。半年以上通院を継続しているなら、すぐにお住まいの役所へ相談しに行きましょう。
傷病手当金と失業保険の関係
傷病手当金と失業保険は、同時に受給できません。傷病手当金の受給が終わってから、失業保険を受給します。
しかし失業保険は、何も手続きしないと退職後1年間で権利を失います。つまり、退職後に手続きせず傷病手当金を1年以上受給した場合、失業保険を受給できなくなってしまうのです。
傷病手当金を受給できていても、退職したあとはハローワークに行き、受給期間延長の手続きをしましょう。
受給期間延長は退職後30日経たないと申請できませんので、急がずゆっくりと行動してください。
うつ病での休職を継続するなら気をつけたい注意点2つ
休職を継続して、退職するかどうかの判断を先送りする場合、あらかじめ知るべき注意点が2つあります。
精神疾患についての知識は社会全体に浸透し始めていますので、普通の会社は休職者に対して最大限配慮してくれます。ひとまずは言われたとおりに休職しましょう。
しかし状況は変わっていくもので、休職が長引けば長引くほど周囲の人間の心境が悪化します。できるだけ悪化しないよう、できるだけ長く休職できるよう、この2点を知ったうえで休職を継続してください。
上司や同僚たちの不満に対する対応
上司や同僚たちの行動や言動に感謝しましょう。上司や同僚がうつ病の原因だったとしても、せめて見かけだけは最大限の感謝を表現しましょう。
なぜなら、上司や同僚は必ず不満をもつからです。あなたが休職した結果、彼らの心に以下のような不満が生まれます。
こうした不満が育たないようにするには「あの人は嘘をつかないから、うつ病もきっと本当だ」と思ってもらうのが有効です。
そのためにも、何かチャンスがあるたびに「ありがとう」「感謝しています」と伝えましょう。
不当な解雇を回避する方法
上司や担当者から「ほかの社員から不満が出ているので、辞めてもらう」「休職期間が半年を超えたらやめてもらうルールになっている」と言われても、拒否しましょう。
本当に解雇できる状況になったなら「解雇予告通知書」が交付されます。とはいえ解雇予告通知書の発行には厳しい条件があるので、簡単に交付されません。
したがって、通知書が発行されていないにもかかわらず上記のような説得に応じると、あなた自身が退職を希望したことになってしまいます。
不当に解雇されないように、騙されて自主退職しないように、以下2つの知識をつけましょう。
従業員の長期休職に慣れていない中小企業だと、さまざまな理由をつけて退職させようとするケースがあります。知識がないと言われるがまま退職するしかありませんので、知識をつけて抵抗しましょう。
就業規則の「休職期間」「解雇」の項目
会社の就業規則を確認しましょう。特に「解雇」と「休職」の項目にどう記載されているかが確認できれば、不当な解雇を回避する方法がはっきりします。
そもそも、就業規則に「解雇」の項目がないと、会社は従業員を解雇できません。就業規則に「解雇」がないにもかかわらず解雇されたなら、どんな事情があろうと不当解雇です。
また「休職」の項目も確認しましょう。うつ病で休職中の方が解雇される条件の1つに休職期間が関係しますから「解雇」の項目とともに「休職期間の長さ」を就業規則で確認しなければなりません。
人事担当者に連絡して、就業規則のコピーや写真などを送ってもらえないか相談しましょう。こちらでメールの例文を紹介していますのでぜひご覧ください。
うつ病で休職中の方が解雇される条件
うつ病で休職中の方が解雇されるのは、以下2つの両方の条件にあてはまるときだけです。
逆に言えば、休職期間中は解雇されません。また、治療が終わっていなくとも、休職期間が終わっただけでは解雇されません。
もし、休職期間中に辞めさせようと説得されたなら、単純に断るだけで回避できます。就業規則で休職期間を確認し、休職中は説得に応じないようにしましょう。
休職中・退職後におすすめの行動【うつ病の改善にも効果あり】
休職中の時間を活用しつつ、うつ病を治療するには、何か目に見えるものを作りましょう。当サイトでは、以下のようなものをおすすめします。
何かを作ろうとすると目標ができますし、実際に完成すれば達成感が得られます。さらに発展すれば副業や起業につながる可能性すらあります。ですからあなたにはぜひ、何かを作ってもらいたいのです。
そして、販売してもしなくてもいいので、必ず何かの形で世に出しましょう。最初は誰にも見てもらえないものですから、慣れるまでは少々雑でも誰かの真似でもまったく問題ありません。著作権だけ気をつけましょう。
私の場合、このブログを作りました。もしあなたが何も思いつかないなら、webライターを目指すのはどうでしょうか。こちらの記事で私の参加したスクールを紹介しますので、ぜひご覧ください。
うつ病で休職して退職するのはずるい?いいえ、要領がいいのです
うつ病での休職や退職がずるいと思われているのは「うつ病への理解不足」が原因です。場合によっては休職中の本人ですら理解していないケースがあり、病状の悪化を招いています。
私が思うに「ずるい」は「要領がいい」と言い換えられます。つまりうつ病での休職と退職は、要領のいい退職方法なのです。もしも面と向かって「ずるい」と言われたなら「へへ、どうだ、いいだろう」と返しましょう。
傷病手当金は退職後も継続できますし、うつ病ならば失業手当も10ヶ月受給できます。合計28ヶ月もの間、給付金を受給し続けられるのです。時間は十分あるので、休職中・退職後は何かを作って世に発表しましょう。
休職を継続しても退職しても、給付金に変化はありません。あなたが心地よく感じるほうを選びましょう。休職を継続するなら総務担当者とは仲良くして、もし退職するならこちらの記事を参考に準備してください。
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