「引き継ぎが間に合わないから有休消化できないと言われた」「でも本当は退職日直前に有休消化を強行してたくさん休みたい」
そんな方へ向けて、有給消化を強行する方法と有給消化を強行する知識を紹介します。
有休消化の期間に出社したら負けです。労働者本人の意思で有給を放棄した(出社した)と解釈されますから、損をしたくないならこの記事を読まなければなりません。ぜひ最後までお読みください。
引き継ぎが間に合わないのは会社の責任。無理に頑張らなくていい
引き継ぎが間に合わないのは、引き継ぎが間に合うように環境を整えなかった会社の責任です。
引き継ぎしなければならないのに、通常の業務をさせたのは会社ですから、引き継ぎについてあなたが気に病む必要はまったくありません。あなたは業務時間内にできる限りの引き継ぎをすれば問題ないのです。
あなたがもし親切な方なら「引き継ぎを間に合わせるには業務をうまく振り分けてください」と、あなたの上司に進言しましょう。
退職前に有給消化を強行するたった1つの方法【できないは嘘】
退職前に強制的に有給休暇を取得するには「何があろうと出社しない」に尽きます。
有給(年次有給休暇)は労働基準法で定められた労働者の権利で、会社はこの権利を侵害できません。
「今の時期に有給なんて使えるわけないよね」「今までみんな使わずに辞めていったよ」なんて言葉を現実に言う上司がいますが、これは単純に上司が法律を知らないか、知ったうえで嘘をついています。まともに話を聞いてはいけません。
以下の具体的な手順に沿って、有給消化を強行しましょう。
きちんと手順を踏んで、きちんと申請したなら大丈夫です。ただ、あとで揉めたときの対策として、提出した証拠を残しましょう。証拠の残し方についてはこちらで解説します。
有給の残り日数を確認する
まずは有給の残り日数がどれくらいあるのか確認しましょう。20日なのか、35日なのか、給料明細に記載しているなら給料明細を確認して、もし記載がなければ人事担当者に口頭で確認してください。
退職届をすでに提出しているなら、今日から退職日までの出勤日と比較します。もし有給日数のほうが多い場合、今すぐ有給を使うためを申請をしなければあなたが損をします。
もし退職届をまだ提出していないなら、有給の残り日数と出勤日の数を考慮して退職日を決定しましょう。
有給使用を申請する
有給を使う申請をしましょう。断られるかもしれないので、こちらの見出しを読んだうえ、証拠を残す準備をしてから申請してください。
もし、退職日までに残った出勤日の数よりも有給日数の方が多い場合、翌日から出社しなくてOKです。
(拒否されても)休む
退職日から逆算して、出勤日の数と有給日数が同じになる日から先は、ひたすら休みましょう。
誰から何を言われても出社してはいけません。この状況で出社したなら、無償で労働しているのと同じだと認識してください。
退職直前の最後の挨拶は、最後の出社日に済ませておきましょう。
ちゃんと手順を踏んだ証拠と拒否された証拠を残す簡単な方法
いくら法律で定められてると言っても、強引に出社させようとする上司が存在します。そんな相手にはしっかり証拠を残して対策しましょう。
証拠の残し方として手軽なのがスマホのボイスメモです。胸ポケットに入れておけばほとんどの会話を録音できます。
録音しつつ上司へ申請書を手渡すか、「有給を取得させてもらいます」とあらためて口頭で報告し、その申し出を上司が拒否する一連の会話を録音できれば完璧です。
申請書を机に置くだけにするのは絶対にダメです。口頭で何も言わないのは「気づかなかった」と言い逃れするチャンスを与えますから、必ず口頭で報告してください。
退職前の強制的な有給消化を会社が拒否できない理由
会社は有給休暇について、労働基準法第39条5項で以下のように定められています。
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
労働基準法第39条5項
この条文を噛み砕いて解説すると、以下のような4つのルールに分けられます。
退職者にとっては特に4つめのルールが重要です。退職予定日が決まっている場合、延ばす先の日にちがありませんので、会社はあなたの有給取得を拒否できません。
仮にあなたの上司が「有給なんて取れない」と言ったり、有給休暇を使用する申請を拒否したりしても、まったく関係なく勝手に休んで大丈夫です。
有休消化を強行したあと、会社にされたら困る問題3つ
勝手に休んだ場合に退職者がよく想像してしまう、会社にされたら困る問題は以下の3つです。
対処法をあらかじめ知って、うろたえずに対応できるように心の準備をしておきましょう。
「出社せよ」と連絡が何度も来る
有休消化を拒否されたにもかかわらず勝手に休んだなら、何度も何度も「出社せよ」と連絡がくるでしょう。そんなときは「労働基準法第39条5項に基づいて休みます」と言ってください。
労働基準法第39条5項を要約すると「会社は有休の取得を断れない」といった趣旨の条文です。
法律の条項を会話に出すと「あ、こいつ勉強してるな。これ以上言っても仕方ないかも」と相手に思わせられるので、出社させようとするのを諦めてくれる可能性が高まります。
第39条5項の条文はこちらで紹介しています。条文は1分程度で読めるので、必ず読んでおきましょう。
給料が支払われない
有休消化した日数分の給料が支払われないケースがあります。これは明らかに法律違反です。
しかし、こういった行動に出るのは法律を知らない会社ですから、あなたが何をどう言おうと給料は支払われません。
かなり面倒ですが、お近くの労働基準監督署へ相談に行きましょう。給料不払いは重大な法律違反ですから、すぐに動いてくれます。
損害賠償を請求される
「勝手に休んだら損害賠償を請求するからな!」と言われた経験がある方がいます。しかし損害賠償請求は、退職者に重大な過失がない限りありえません。
損害賠償請求されるような重大な過失とは、以下のようなものです。
要するに、あなたが何か不法な行為をして、その結果会社に損害が発生したときだけ、損害賠償が請求されるのです。
あなたがうまく引き継ぎできなかったのは、あなたが不法な行為をしたからではありません。あくまで会社の責任です。仕事を休んだ程度で損害賠償請求なんてされませんので、気にせず休みましょう。
退職後に残った有給を買い取る企業もあるが、当てにしない
退職後に残った有給休暇を買い取ってくれる会社は確かにあります。しかし、この記事を読んでいるあなたの会社は買い取ってくれないでしょう。
有給休暇の買い取りは義務ではないので、残った有給休暇を買い取ってくれる会社とはつまり、とても良心的な会社です。そんな優良企業が引き継ぎを理由に有休消化させないなんてありえません。
どんな理由があろうと、有休消化の期間に出社したら負けなんです。休暇を取り返すには多大な労力がかかるうえ、何も取り返せないほうが多いので、強制的に休むのが唯一の正解です。
できないと思うなら、退職代行にお願いして強行してもらおう
この記事を見て「自分にはできない」と思った方は、ぜひとも退職代行の「退職110番」を使いましょう。
退職110番は弁護士が運営しており、以下のようなトラブルにすべて対応してくれます。
自分ではできないと思うなら、プロの退職代行に依頼するのが現実的な判断です。退職110番ならもし裁判になっても任せられますので、ぜひリンク先をご覧ください。
退職の引き継ぎが間に合わなくてもいい。有給消化を強行しよう
一方的に有給を申請し、受理されていないのに勝手に休むのは、心理的に抵抗があるでしょう。
とはいえ、そんな優しいあなただから会社が強く主張するのです。あなたも、毅然とした態度で定められた権利をしっかり主張しましょう。
この記事で紹介した有休消化を強行するために最低限必要な知識は以下の4つです。
もしあなたが有休消化を拒否されているなら、せめて明後日から休めるように、明日は上司との会話を録音しましょう。あなたのためにも頑張ってください。
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