突然辞めるし、時間ないし、退職届はパソコンで書きたい。書き方がわからないし、字もキレイに書けないし。でも、私は便箋に手書きをおすすめします。
しかし便箋に手書きすると、失敗したときに全部書き直しになるのが本当に辛いですよね。
パソコンで書きたい気持ちは本当にわかりますが、退職届はやはり手書きがベストです。なぜなら、相手を不快にさせないために何度もやり直すその姿勢こそ、まさしくマナーの本質だからです。
あなたが突然退職すると、会社には必ずトラブルが起こります。とはいえあなたの辞めたい気持ちは我慢しないほうがいいので、退職届を書いて上司へ提出してしまいましょう。
時間のないあなたに、簡単に手に入る材料だけを使った、綺麗な字で書かれた美しい退職届のつくり方をご紹介します。
退職届の書き方だけではなく、退職の伝え方や退職届の渡し方までお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
突然辞める場合でも、退職届は便箋へ手書きしよう
手書きって、重くないですか。手書きのメモくらいならともかく、しっかりした封筒に入った手書きの手紙は重いと私は思います。手渡されると「え、なんだろう、大事なことが書いてありそうだ」と思ってしまいますよね。
その封筒に「退職届」と書いてあるだけで、しかもそれが手書きってだけである程度の覚悟が伝わるんです。「ああ、これだけの覚悟があるなら、何を言ってもムダかもしれない」と思ってもらうことができます。
トラブルのないスムーズな退職を目指すなら、私は手書きをおすすめします。「何を言われても撤回しない」という強い意志を持って提出しましょう。
ちなみに私は退職願ではなく退職届をいきなり出す方法を推奨します。会社の手続き上退職願が先に必要だったとしても、一旦先に退職届を出してから改めて退職願を出せばいいのです。退職願と退職届の違いは次の見出しで解説しますが、退職願は退職届ほどの意味を持ちません。
突然辞める場合、退職届の書き方がどう変わるか
ある日突然出社しなくなるとしても、できるだけ迷惑をかけないようにしたいと思いますよね。
最低限の礼儀として、退職届だけは会社に残していきましょう。
とはいえ、突然辞めるからといって特別な内容を書く必要はありません。一般的な内容の、一般的な退職届を書きましょう。
書き方の前に知りたい、退職届と退職願の違い・それぞれの流れ
退職届と退職願、辞表。どれも所属する会社を退職するときに提出する書類ですが、それぞれ使い方が違います。
「辞表」は取締役が使う書類です。一般の職員にはあまり関係がありません。
「退職願」は上司にお願いをする書類で、決定権は会社にあります。会社が退職日が確定してから改めて退職届を提出する流れです。会社があなたを必要だと思っていて、かつ交渉の余地があると思われた場合、引き留め交渉が始まります。
「退職届」は退職者本人が退職日を宣言する書類で、「退職願」よりも強い効力を持ちます。初めから「退職届」を出してしまえば、上司は引き留め交渉すらできません。
期限の定めのないいわゆる正社員の場合、法律では退職の2週間前に申し出れば退職できるとされています。
しかし、円満退職のためには、就業規則を確認して社内規定に従った方が無難でしょう。
「退職願」と「退職届」の違いを知ったうえで、あなたが勤めている会社の就業規則を確認してください。
「就業規則」は、「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること」と労働基準法で定められています。もしあなたの会社がそれを守れていないなら遠慮はいりません。サクッと退職届を出してしまいましょう。
退職届の書き方例。縦書きと横書きで内容は同じだが配置が違う
会社に指定のフォーマットがある場合はそちらを使用しましょう。指定フォーマットの有無は就業規則に記載されているはずですから、まずは就業規則の確認を。
フォーマットがない場合はこちらを参考にしてください。縦書きと横書きでは配置に違いがありますが、書くべき内容は同じです。
ここでは、なぜその場所にその文字を書かなければならないのか、具体的にどう書くのかを紹介していきます。
①タイトル
「退職届」と書けばOKです。
縦書き・横書きともに、書類の最初の行中央に大きく書きましょう。
②「私儀」
「私儀」と書きましょう。「私ごとで申し訳ありませんが」との意味で、退職届(願)にしか出てこない謎な言葉ですが、マナーなので忘れずに。
縦書きの場合は下に、横書きの場合は右に書きます。
③退職理由
普通は「一身上の都合により」でOKです。が、「一身上」と書いてしまうと「自己都合」を宣言する意味になりますから、会社都合にできる場合はそれ相当の言葉に変えなければなりません。
しかし、会社都合でないなら、すべて「一身上の都合により」と書きましょう。病気や転職などの理由を書く必要はありません。
④退職日
この日に向けて有休消化しますので、有給休暇がたくさん残っている方はそれを踏まえた日にちを書きましょう。
退職届の場合、この日にちはあなた自身で決めます。
個人的には、縦書きの場合は和暦に漢数字が、横書きの場合は西暦にアラビア数字がよく合うと思います。
⑤退職の宣言
「退職します」と断言しましょう。
退職届ではなく退職願の場合、ここは「退職したく、お願いいたします」と緩めの文章になります。
⑥提出日
上司に退職届を手渡すその日の日付を書きます。
事前に決めて書いてしまうか、渡せそうな日まで空欄にしておいて当日書くか、状況に応じて考えましょう。ちなみに、私は事前に書きました。
縦書きの場合は上に、横書きの場合は右に寄せて書きます。
⑦所属部署・氏名
このあとにくる、社長の名前よりも下に書くのがマナーです。
あなたが一番下で、その次が部署、その上が社長で、一番上が会社。そういう序列を意識して書きましょう。
縦書きの場合は、所属部署を少し上に、あなたの氏名を一番下に書きましょう。横書きの場合は自然と上下がつきますから、どちらも右寄せで書きましょう。
⑧印鑑
印鑑があるのとないのとでは、退職届の印象がガラッと変わります。
もしお持ちでしたら、あまりシンプルではない印影の印鑑を押すとよいです。真剣さが伝わる、いい退職届になります。
⑨会社の正式名称・社長氏名
上司の名前ではなく、会社の最高責任者の名前を書きます。通常は社長です。
縦書きの場合は、会社の名称を一番上に、その少し下に肩書きを含めて社長の氏名を配置します。
横書きの場合はどちらも左寄せで書きましょう。
⑩「以上」
「ここから下は余白ですよ」と宣言する言葉。横書きでしか使われないマナーで、ビジネスや役所で使われる文書やメールによく出てきます。
「私儀」と同じように単なるマナーです。横書きの場合はとりあえず書いておきましょう。
綺麗な字の書き方はゆっくりが基本。便箋に手書きは満足度高い
字をキレイに書くのは難しいです。私も相当練習しましたが、長年走り書きをしてきたクセはなかなか治りません。
字を綺麗に書く絶対的なコツは「ゆっくり書く」です。焦らず、一字一字、止めハネ払いをゆっくり書くだけでかなり改善できます。
それでも、満足のいく1枚ができるまで何回も書き直すことになるでしょう。もし練習する時間がまだ残されているなら、私も使ったこちらの練習帳をおすすめします。
どう書けばバランスよく見えるかきっちり教えてくれるので、きっとあなたも今より上達できるはず。
退職届の便箋・封筒はamazonで揃う。万年筆での手書きが楽しい
退職届を書く経験は人生でそう何度もありません。せっかくですからきちんとしたものを作りましょう。私は当時この4つを準備し、退職届を書きました。
万年筆以外は100均でも揃うでしょうが、紹介しているものはそう高価なものでもありません。もし持っていないなら思い切って購入されてはどうでしょうか。
便箋
まずは便箋です。白紙のコピー用紙でも確かに問題はありませんが、やはり便箋に書くと「気持ちをこめて手紙を書いている」気分になれます。
縦書き用便箋
横書き用便箋
縦書きか横書きかはお好みで決めてください。もし万年筆で書くつもりでしたら、右利きなら横書きを、左利きなら縦書きをおすすめします。
万年筆は書いてから乾くまで少し時間がかかります。右利きで縦書き、左利きで横書きを書くと、書いたばかりの文字の上に手を置く場面がすぐに来ます。インクが乾燥するまで手を止めなければいけないのです。
右利きなら横書きを、左利きなら縦書きを使った場合、そういった場面はなく快適に書けるでしょう。
もし、どうしてもコピー用紙に書くなら、文字が傾かないような工夫をしましょう。
封筒
封筒は、郵便番号を書く枠のない、白い封筒を使いましょう。
郵便番号のある封筒は「余りものの封筒」と印象づけますし、茶色の封筒は「事務用」との位置付けが強いからです。
あなたの退職は、あなたにとってだけでなく会社にとってもおおごとです。そんな大切な手続きにわずか数百円をかけられないのなら、それはそれだけ感謝していない証拠だと解釈されてもおかしくありません。
ほかに出番がなくとも、それなりの封筒を使いましょう。こちらで紹介しているのは長形4号と言って、先に紹介した便箋がちょうど入るサイズです。
万年筆
万年筆に馴染みがない方は多いのではないでしょうか。しかし一度使うと、ボールペンにはない魅力に気づいていただけると思います。
何よりそのペン先の見た目。そして筆圧が全くいらない書き味。「書く」感覚が全く違う万年筆を、あなたにもぜひ感じてもらいたいのです。
初めての万年筆には、パイロットのカクノをおすすめします。
とっつきやすい価格と、ペン本体のカラーバリエーション。私も初めての万年筆はカクノでした。ペン先の太さにも種類がありますが、退職届を書くのなら中字の「M」をおすすめします。
もしもコピー用紙に書く予定なら、万年筆は諦めてください。インクが滲んでかなり書きづらいです。
印鑑
できれば、印影の複雑な、ぱっと見で読めないような印鑑が望ましいです。
シンプルな印影、例えば100均の印鑑の場合、退職届が偽造されている可能性を否定できません。なぜなら、誰でもすぐにその印鑑を入手できるからです。
あなたが直接手渡した上司は問題ありませんが、その上司が報告する取締役から見ると、その上司が退職届を偽造した可能性を否定できないのです。
便箋に手書きが基本だが、パソコンで書いた退職届も法律的に有効
そもそも法律には、退職に際して文書を提出しなければならないとは書いていません。つまり法律から見れば、口頭でもLINEでも、伝えるべき相手に伝わればOKです。
ただ、口頭やLINEでは冗談だと誤解されるケースもあり、やはり退職届はあった方がスムーズでしょう。
LINEでも有効なら、パソコンで書いた退職届は当然有効です。しかし、パッと見たとき、手書きとパソコン書きとでは文書の重みが違うのは理解できるはず。せめて、ご自分の名前は手書きで書きましょう。
こちらの記事で、スマホでも作成できる「退職届生成ツール」を紹介しています。時間のない方、どうしても書けない方はぜひご利用ください。
退職届の提出方法。タイミング、渡し方、伝え方、誰に渡すか
まずは「直属の上司に直接手渡す」のが基本です。タイミングは、その上司が業務に追われていないときで、かつ勤務時間の残り少ない夕方がおすすめ。
上司が不在だからといって上司の机に置いて帰ってはいけません。ほかの書類に埋もれてしまったり、ほかのスタッフが持ち去ってしまったりして上司の目につかない可能性があります。
上司にかける言葉は「すいません、少々お時間よろしいでしょうか」から始めましょう。そして上司の意識がはっきりとこちらを向いたとき、退職届を手渡すのです。
仕事がバタバタしている時だとまともに取り合ってもらえませんし、時間に余裕がありすぎると時間無制限の引き留め交渉が始まってしまいます。
もし上司が怖かったり、何度提出しても拒否されたりする場合は、退職代行を使ってしまうのも一つの手です。費用はかかりますが、明日から出社しなくていい場合があります。最終手段として頭の片隅に置いてやってください。
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突然辞めるときは退職届をどう渡す?机に置くだけでいい?
もう明日から出社できないとわかっていて、目の前に上司がいなければ、直接手渡すことは不可能ですよね。
そういう事情ならばやむを得ません。必ず上司の目につくところに退職届を置いて、帰ってしまいましょう。書類の山に埋もれないよう、気をつけて置いてください。
しかし会社は、その退職届が「他人が作った偽造書類ではない」ことを確認しなければなりません。電話でいいので、直接話す機会を設けましょう。
退職代行を利用すれば、その電話の会話も代行してくれます。上司と話したくない方は退職代行を利用しましょう。
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突然辞めるからこそ退職届は書き方を確認して便箋に手書きしよう
退職届は、お世話になった会社に対する最後のあいさつです。
気持ちよく送り出してもらうには、手間をかけて作った手書きの退職届がベスト。便箋に万年筆で書きましょう。
しかし、最初の1枚でいきなりキレイに書ける方はいません。まずはどんなものでもいいので、手元にある紙とペンでとりあえず書いてみてください。
あなたが今の会社から解放され、新しい会社へスムーズに進んでいけるよう祈っています。頑張ってくださいね。
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