再就職した方なら、離職票なんて使い道がないと思われる気持ちもわかります。しかし、こういった社会保障は知らないと損、知っているだけで得をする種類の知識です。
新しい職場では覚えなければならないことがたくさんあるもの。関係なさそうなことはさっぱり忘れて業務に集中したいですよね。
「前の会社から離職票が届いたけれど、もうすでに転職していて使い道がよくわからない」
「失業給付金なんて関係ないし、捨ててもいいんじゃないかと思っている」
そういった、前の職場を辞めてすぐに転職できた方へ向けて、この記事では以下の内容をまとめています。
あなたが理解すると、あなたの周りの方がおかしな行動をしていたとき、あなたがその方へ正しい知識を伝えられるようになります。
あなたとあなたの周りの方たちの将来のため、ぜひ最後までお読みください。
そもそも離職票とはどんな書類か。使い道は?いつ届くのが普通?
離職票とは、失業給付金を受給するために必要なもので、労働者が退職したあとに雇用者(会社等)から交付される2枚の書類です。
転職先をあらかじめ決めてから退職された方にとっては、特に使い道がないケースも珍しくありません。
とはいえ、よくわからないまま捨てない方がいいのも確かです。ここではまず離職票とは何かからお伝えしたいと思います。
今お手元にある離職票をどうするべきかは記事の後半で触れます。
離職票に記載されている内容
離職票には以下6つの内容が記載されています。
この6つの情報から、あなたの失業給付金がいつから、いつまで、どれくらい給付されるか決まります。
離職票の使い道
離職票は、失業給付金を受け取るための手続きに使われます。また、再就職先から提出を求められるケースもあります。
ただ、再就職先から提出を求められた場合は、コピーを提出するか、返却してもらえるように伝えてください。もし既に原本を提出してしまっていたなら、返却してもらえないか相談しましょう。
なぜなら、万が一早期離職してしまった時に必要になるからです。人事担当の方なら理解してくださるはず。
離職票が届く時期
説明しながら渡してくれたら理解できるのに、遅れて郵送されたら「この書類は何?」と不安になりますよね。
残念ながら、離職票は退職したその日にはどうしても渡せないのです。請求してから手元に届くまで、ざっくり2週間程度かかると言われています。
なぜそんなに遅いのでしょう。それは、会社とハローワークの間で書類の手続きがあるからです。
上記の2.と3.で書類作成・郵送、4.で郵送と、書類作成を2回、郵送を3回しなければなりません。結果、どうしても日数がかかってしまうのです。
郵送のところを直接出向いてくれたら、かなり短縮できるはずですが、うまくお願いできないと難しいでしょう。
退職コンシェルジュのメッセージテンプレートで連絡した私の場合、退職後1週間で手元に届きました。退職前から事前に準備してくれたようです。
離職票の使い道がないケース。転職後1年順調に過ぎたら廃棄OK
離職票は転職後最低12ヶ月間は保管しましょう。万が一早期退職したとき必要になるので、捨ててはいけません。
逆に言えば、転職後1年以上何事もなく勤務できた場合、手元の離職票は使い道がなくなります。
なぜなら、次に離職したときには、新しい職場から発行される離職票で失業給付金を受給できるからです。
そうやって、1年間全く使わなかった場合は、捨ててしまって大丈夫です。
失業給付きんの受給条件4つと、離職票を2年保管した方がいいケース
なぜ前の職場の離職票が必要になるのかを理解しやすくするため、先に失業給付金の受給条件を説明いたします。
このなかの「離職前2年間で12ヶ月以上の被保険者期間がある」が、実は2つ以上の職場でもOKなのです。
例えば、4つの職場を3ヶ月ずつ転々とした場合でも、12ヶ月の加入が認められ失業給付金を受け取れます。
ただし、短期離職を繰り返した場合は職場に所属していない期間(被保険者ではない期間)が含まれがちです。そのときは1年と言わず2年間保管するようにしましょう。
一度発行されていればハローワークで再発行可能。紛失してもOK
離職票は再発行できます。もしも紛失したり破れたりした場合はハローワークへ相談に行きましょう。
その際に最低限持参しなければならないものは以下の3つです。
もし手元にあれば、雇用保険被保険者証などの被保険者番号がわかるものを持参すると、いくつかの手間が省けます。こちらもハローワークで再発行できるので、手間は増えますがなくても問題ありません。
再発行に限らず、雇用保険関係の手続きは電子申請(スマホ不可)や郵送申請が可能です。
デメリット | メリット | |
電子申請の場合 | ・手続き完了してから手元に届くまで時間がかかる ・必要な手続きがどれなのかを自分で勉強して判断しなければならない ・あなたが知らない制度は利用できない ・初期登録が必要 | ・24時間・365日申請できる ・自宅や職場でもできる |
窓口申請の場合 | ・対応してもらえる時間・曜日が決まっている ・ハローワークまでの交通費がかかる | ・即日発行される可能性がある ・担当の方があなたに必要な手続きを教えてくれるので、勉強しなくてよい ・担当の方が教えてくれるので、あなたが知らない制度も申請できる |
私は窓口での手続きを私はおすすめします。「担当の方が教えてくれるので、あなたが知らない制度も申請できる」メリットが本当に大きいからです。
もし、電子申請に挑戦されるのでしたら国が運営している電子申請のサイトへアクセスしてください。スマホでは機能が制限されるので注意が必要です。
離職票とよく似た離職証明書と退職証明書。そのそれぞれの使い道
離職票と似たような書類に離職証明書と退職証明書がありますが、これらは全く異なる書類です。
離職証明書は特定の使い道が定められており、一方で退職証明書は自由に使える点が大きく異なります。
離職証明書とは
離職証明書は、離職票を発行するために雇用者がハローワークに提出する公文書です。
離職証明書には退職者本人が記入する部分もあるのですが、省略してよいルールになっていて、退職者本人が離職証明書を目にする機会はあまりありません。
退職証明書とは
退職証明書とは、雇用者が以下の内容を証明するもので、使い道の定められていない文書です。
主な使い道は、離職票が発行されるまでの代用に使われたり、転職先企業が何かを確認するのに使われたりします。フォーマットも雇用者の自由です。
ただし、内容や発行については労働基準法第22条で規定されており、退職者から請求された場合、会社は遅滞なく交付しなければなりません。(退職後2年までの時効あり。同法第115条)
どうしても離職票の提出を求められた場合、提出先に退職証明書で代用できないか相談してください。会社次第で即日発行できる可能性があります。
転職1年未満なら離職票はまだ使い道がある。一応保管しておこう
離職票は転職時に必須の書類ではありません。退職後すぐに再就職し、1年以上順調に経過したケースで離職票は全く出番がありません。
しかし、新しい職場を1年以内に退職してしまった場合、古い離職票は大いに活躍します。
現時点で特に不安がなくても将来の状況は分かりません。受け取った離職票は少なくとも1年間大切に保管しましょう。
逆に、転職してからなにごともなく1年が経ったなら、もう離職票は捨てて構いません。無事にその日が来るよう、新しい職場で頑張りましょう。
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